マラソンを走ろう! 木谷正道 (2008.12.11)
忘れもしない、2006年5月の連休。遊びに来ていた次男がこう言った。
「おやじ、東京マラソンに出るんだろう?」
「なんで、お父さんが出るんだ?」
「だって、おやじは都庁の職員だろうが。都庁がやるのに職員が走らなくて良いのか?」
「・・・」
「俺がサポートするから走ろうよ!」
ぐらっときたが、まさかである。これまで、運動らしい運動をしたことがない。ランニングといえば、小学校時代から、2〜3km走れば息はゼイゼイ、心臓バクバクで、頭が真っ白になって倒れていた嫌な記憶がある。マラソンを走れるわけがない。
息子は僕に、呼吸法のアドバイスをした。「すっすっ はっはっ」でなく「すっすっすっすっ はっはっはっはっ」(四回吸い四回吐く)でやれば走れる。二回ずつは短距離用で、マラソンでは心肺がもたない。
四回ずつ呼吸すれば心肺は大丈夫で、あとは足腰の筋肉の勝負。歩ける人なら誰でも、ある程度の耐久力があり、結構走れるものなのだ。練習すれば足腰は強くなり、マラソンも走れるという。
初めて聞く話だったが、「なるほど」と納得した。
ものは試しに、海岸まで1kmを一緒に走ってみたら、走れた。試しに帰りも走ってみたら、走れた。何と、2km走れたのである。
翌日から朝2kmを走り始め、やがて4km走るようになった。時間は30分ぐらいである。だんだん面白くなって8km走るようになったが、これは少々大変なので、一か月ぐらいでやめた。
5月中旬に食事の内容を玄米、味噌汁、納豆などを主としたものに変え、毎朝、きちんと食べるようにした。
一月で体重が67kgから63kgに減った。顔も体も激やせになり、周囲も自分も病気ではないかと心配をしたが、健康診断で何ともなかった。
一年中飲んでいたお酒は、2006年1月から家では一滴も飲まないことにしていたが、外では飲んでいた。しかし、お酒を飲むと、次の日に走れなくなるから徐々に少なくなり、12月からは月5回に制限した。
10か月が過ぎ、2007年3月18日の湘南国際マラソンを迎えた。
息子と横浜市の渡邊伸郎さんが一緒に走ってくれて、ペース配分をしてくれた。
家族は「片道もたないだろう」と言うし、僕もそう思っていた。息子は[何とか折り返しまで行き、その後は、だましだまし這ってでも帰ってこよう」という。悲壮な覚悟である。
ところが、走り出したら結構行ける。折り返しを過ぎても大丈夫だ。最後の10kmはさすがにきつかったが、何とか歩かずに4時間57分で完走した。
マラソンは、やる前は想像をはるかに超えた世界だったが、取りかかってみれば手が届くことが分かり、実際に走ってみれば、信じ難いことにはるかに簡単だった。
そして、自分の心身に与える効果は劇的に大きかった。僕の今の元気の70%はマラソンに挑戦したことによると思う。
さあ、走りましょう!
★心の唄サイトに、木谷正道のトレーニング日誌を公開しました。
http://kokorono-uta.net/kokorono-uta/running/training.html